
こんにちは、ユアンです。
以前、図書館で読み聞かせのスタッフをしていました。
我が家では、毎晩寝る前に親子で絵本の読み聞かせを楽しんでいます。
私にとっては楽しい読み聞かせですが、周りのお母さんの中には、絵本の読み聞かせについてこんなお悩みをお持ちの方も多いようです。
- 絵本を上手に読むことができない
- そもそも自分があまり絵本を好きではない
- どんな絵本を読めばいいのか分からない
- せっかく絵本を読んでも子どもが聞いてくれない
- 子どもに本を好きになってほしい
- 絵本を読んだ方がいいとは思うけれど、ちょっとめんどうくさい
この記事では、そんなお悩みをお持ちのお母さんに、読み聞かせが楽しくラクになるちょっとしたコツをお伝えします。
私は以前、図書館で読み聞かせのスタッフをしていました。
そのときにベテランスタッフの方や絵本専門店の方からちょっとしたコツを教えてもらい、読み聞かせがとても楽しくラクになりました。
この記事を読んでくださったお母さんに「絵本の読み聞かせってもっとラクチンでいいんだ!」と知っていただけたら嬉しいです。
絵本を読み聞かせるときのポイント


絵本の読み聞かせで大切なポイントは2つです。
- 感情をこめすぎない
- お母さんが面白いと思える絵本を選ぶ
シンプルです。順番に説明します。
1.【読み聞かせのポイント】感情をこめすぎない
「絵本を読むときは感情をこめすぎないようにしましょう」
これは、私が図書館で読み聞かせスタッフをしていたときに、ベテランの方から教わったことです。
絵本の読み聞かせのコツについて書かれているものの中には「表現ゆたかに、感情をこめて読みましょう」とされるものもあります。
お母さんたちの中にも、子どもに楽しんでもらうために、少しオーバーな表現で読もうとがんばっておられる方がおられるのではないでしょうか。
しかし、豊かすぎる表現は、子どもの想像力を途切れさせてしまうことがあります。
物語そのものよりも読み手に集中してしまうのです。
オーバーな表現をおさえて淡々と読むことで、登場人物の感情や絵本の解釈を、子どもにゆだねることができます。
子どもに楽しんでほしいという気持ちは分かりますが、
あくまでも主役は絵本と子ども。お母さんではありません。
感情をこめすぎずに読むことで、子どもに絵本の世界観をゆだねることができるのです。
私も図書館で読み聞かせをする際に、感情をこめすぎないように読むようになってからは、子どもたちがぐっと物語に入ってくれるようになったと思います。
「感情をこめすぎずに読む」「ゆったりと、たんたんと読めばいい」と分かれば、読み聞かせのハードルがぐんと下がり、自分自身も読むことがラクに楽しくなりました。
絵本を読み聞かせるときは、「感情をこめずに、ゆったりと読んでいい」ということが分かると、親子ともに絵本タイムがもっと楽しくなると思います。
2.【絵本を選ぶポイント】お母さんが面白いと思える絵本を選ぶ
絵本を選ぶときは、
- お母さんが読んで見て面白いと思う絵本
- お母さんが好きなデザインの本
を選びましょう。
お母さんの中にはこん方もおられると思います。
- そもそも自分があまり絵本を好きではない
- どんな絵本を読めばいいのか分からない
- 絵本を読んだ方がいいとは思うけれど、ちょっとめんどうくさい
そのようなお母さんは、お子さんのために「素敵な絵本」「ためになる絵本」を読んであげたいと思われている方が多いと思います。
しかし結論を言いますと「読み聞かせの絵本はなんでもいい」と思います。
もっと言うと「お母さんが好きな絵本であればなんでもいい」と思います。
後述しますが、
子どもにとっては「自分のお母さんが自分のために絵本を読んでくれている」ということだけで完璧だからです。
お母さんが義務でしかたなく読んでいると、その空気は子どもに伝わります。
「この本はためになるから」と一生懸命読んでも、子どもにはあまり響きません。
一方でお母さん自身が好きな本を読めば、お母さんのポジティブな気持ちは子どもにも伝わります。
子どももホッと安心した気持ちになるでしょう。
ですので、読み手であるお母さんが少しでも「好きだな」と思える絵本を選んでください。
ためになる絵本を選ばない
名作や、教訓のあるためになる絵本を選ぶ必要はありません。
むしろ子どもはストーリーに意味があまりない、あそび心の多い絵本が好きです。
名作や教訓じみた絵本でも、お母さんが好きな作品なのであれば良いと思います。
でもそうではなく「この本を読んだ方が良さそうだから」という理由であれば、がんばる必要はありません。
大切なのは「お母さんが絵本を読んでくれる時間」が、子どもにとってホッと安心できるものであることです。
ためになる絵本をわざわざ選ぶ必要はありません。
ぜひ、ただ楽しいだけの本や、面白いだけの本も選んでみてください。
デザインの美しい絵本を選ぶ


お母さんがパッと見て「きれい!」「楽しそう!」と思えるデザインのすてきな絵本を選びましょう。
自分の直感を信じましょう。
絵本はストーリーはもちろんのこと「絵」をながめるだけでも十分しあわせな気持ちになれるツールです。
逆にどんなにストーリーが素晴らしくても、絵やデザインにときめかないと、その本を好きになることはむずかしいです。
私も自分が子どもの頃に好きだった絵本を思い出すと、ストーリーというより「絵が好きだった」というものがほとんどです。
同じ絵本を何度も読んでもらいましたが、そのどれもが「絵に魅力があった」ものばかりです。
本屋さんや図書館で、絵をみて直感的に好きだなと思った絵本を選んでみてください。
デザインのすてきな絵本は、それを読むお母さんの気持ちもハッピーにしてくれると思います。
「お母さんが絵本を読み聞かせてくれる」ただそれだけでOK


最後に。絵本の読み聞かせでいちばん大切なことは何でしょうか?
それは、
「お母さんが自分のために絵本を読み聞かせてくれる」
ただそれだけです。
(この場合の「お母さん」は身近な保護者という意味です。
子どもが安らげる人であれば、お父さんでもおばあちゃんやおじいちゃんでももちろん同じです)
「???どういうこと???」
絵本を読み聞かせるというと「良い絵本の選び方」や「読み聞かせ方」などの方法論ばかり考えてしまいますが、それらはどれもささいなオマケにすぎません。
子どもにとって大切で嬉しくて幸せなことは、「お母さんが読み聞かせをしてくれている」という、その時間そのものなのです。
寝る前にお母さんがそばにいてくれること
お母さんのあったかい声
お母さんのぬくもり
お母さんが自分のために過ごしてくれている時間
これで完璧です。
これ以上は全部おまけにすぎません。
子どもは全身で聞いています
読み方が下手でもかまいません。
絵本の内容が多少つまらなくてもかまいません。
もっと言えば、子どもが全然聞いていなくてもいいんです。
でも、子どもは聞いていないように見えて、ちゃんと聞いています。
内容を聞いていなくても、お母さんの声を聞いています。
絵本を読んでいるお母さんの、やさしい声をきいています。
ぬくもりを感じています。
子どもはいつか思い出す「お母さんに愛されていた」
以前、京都の絵本・児童書専門店「えほん館」の店長、花田睦子さんの講演をお聞きしたことがあります。
大学のクラスで、絵本の講義をしたときのことを話されていました。
生徒たちに
「子どもの頃に好きだった絵本を、だれかに読んでもらってください」
という課題を出したそうです。
その中の学生のひとりが、課題だから仕方ないと、ご実家に電話をされました。
そしてお母さまに「絵本を読んで欲しい」とご協力をお願いしたそうです。
お母さまは笑いながらも電話口で絵本を読んでくださったそうです。
学生さんははじめ「課題だから仕方ない」と思うものの、すこし気恥ずかしかったそうです。
それが、お母さまが絵本を読むのを聞いているうちに、だんだんと涙がポロポロこぼれだしてきたそうです。
思い出されるあの頃の記憶。
お母さんのぬくもり。
お母さんの声。
ちょっと物語をはしょってみたり、アレンジしたりするお母さん。
眠そうなお母さん。
頭をなでてくれるお母さん。
自分に寄り添って、時間をかけてくれたお母さん。
いろいろなことが思い起こされ、涙が止まらなくなったそうです。
電話口の、絵本を読んでくれているお母さんの声を聞きながら、
「ああ、自分は愛されていたんだ」と心から分かり、涙が止まらなくなったそうです。
読み聞かせで伝わる「あなたを愛している」
お母さんが絵本を読み聞かせてくれる時間そのものが、「あなたを愛している」のメッセージになります。
それは生涯、子どもの心に深くあたたかくのこります。
どうかかまえすぎず、気らくに、絵本の読み聞かせをしてみてください。
簡単な赤ちゃん絵本、面白そうな絵本、お母さんの好きな絵本で大丈夫です。
毎日同じ絵本でも良いのです。
「お母さんが絵本を読み聞かせてくれる」
ただそれだけで完璧です。